第34章 最終決戦 上弦の弐
「君も柱?今日はついてるなぁ。君たちみたいに可愛いくて、質のいい女の子がたくさん食べれて。」
そう言って微笑む童磨の顔に、沸き上がる吐き気を抑え込むと、陽華は静かに呼吸を整えた。
「氷の呼吸・壱ノ型…、」
「あぁ、氷の柱かぁ。初めてだよ、俺も同じような術が出せるんだけど、どっちが強いかなぁ。」
そう言うと童磨は、両手に握った大きな扇を振り上げた。
− 血鬼術 蓮葉氷
勢いよく振られた扇から、飛び出した霧状の氷が陽華に襲いかかる。陽華はそれを吸わないように息を止めて潜り抜けると、童磨との間合いを一気に詰めた。
「氷輪!!」
鋭く横薙ぎで放たれた氷の刃が、童磨の頚に迫った。しかし童磨はそれを軽く身体を傾けるだけで避け、さらに手に持った扇を、陽華目掛けて大きく振り下ろした。
鋭い扇が陽華に迫ってくる。
陽華は急いで刀を返すと、扇を受け止めた。金属が激しくぶつかり合う音が、室内に響き渡る。
ー 陸ノ型 白銀の寒花
間髪入れず、陽華は次の技を繰り出した。足を力強く踏み込み、技の旋風で勢いよく扇を吹き飛ばす。
氷の花びらが粉雪のように、舞い上がった。
しかし童磨は少しも慌てることもなく、軽く振った扇の先から、氷の粒を繰り出し、花びらを吹き飛ばした。
冷たい冷気が皮膚が焼く感触を感じ、陽華は堪らず後ろに下がる。
全ての攻撃が見透かされていた。
(…強い。私の速さじゃ一撃も与えられない。)