第34章 最終決戦 上弦の弐
鬼は突然現れた陽華を値踏みするように見ると、さらにニコッと笑った。
「うーん、君も美味しそうだねぇ。俺は童磨。君の名前は?」
「…鬼に名乗るような名前は持ち合わせてないの。私、貴方のこと嫌いだから、話し掛けないで。」
その言葉に童磨は、悲しそうに陽華の顔を見詰めた。
「なんで鬼殺隊の娘達って、そんなに冷たいのかなぁ?」
陽華は一言も返さずに、冷たい目で童磨を睨み付けた。
ー あいつがカナエの仇…。
陽華の中に、感じた恐怖を上書きしていく、強い怒りの感情が沸々と沸き上がってきた。
陽華は優しくしのぶを座らせると、立ち上がった。
「休んでて、私が行く。」
「陽華…、あいつの…冷気、吸わないで…、」
しのぶの言葉に、陽華は静かに頷くと童磨との距離を詰め、刀を抜き構えた。