第33章 最終決戦 序
落ちていく最中、陽華は建物内を冷静に見渡した。城のような造りをしているが、上も下も不規則に並び、形状が良くわからない。
陽華は手が届く縁に捕まると、勢いよく近場の部屋の中に飛び込んだ。
なんとか部屋の中に着地し、辺りを見回した。不思議な空間。敵の血鬼術なのか。
「陽華ー!!」
落ちてきた穴の上の方から、誰かが呼ぶ声が聞こえ、陽華は上を見上げた。
遥か上の方から、義勇がこちらを見ていた。
「大丈夫かー?」
「義勇、私なら大丈夫!!貴方は自分の…水柱としての責務を果たしてー!」
そう言いながら、義勇に元気に手を振ると、陽華は部屋の出口に向かって走り出した。