第33章 最終決戦 序
何処に向かっていいかもわからないような廊下を走りながら、陽華は状況を整理した。
あの男が鬼舞辻無惨。初めて見た憎き鬼どもの親玉の姿。…それと奴の旁にいた女性。
たぶんあの人は、しのぶが共同開発をしていた鬼だろう。名は珠世と言ったか。その鬼が傍にいたのなら、恐らく無惨には何らかの処置が施されている。
しのぶ達が何を造っていたかはわからない。だが、陽華が察するに、それは十中八九『鬼を人間に戻す薬』だろう。
しのぶは、『予想以上の物が造れた』と言っていた。きっとしのぶの事だ、二重三重の効果を追加しているに違いない。…なら、無惨は暫くの間、留め置くことが出来る。
そしてこの場所。恐らくは鬼の血鬼術で造られた空間。無惨が最終決戦の場として選び、自分達鬼殺隊を、ここに誘い込んだのなら、ここは鬼の本拠地と言っても過言ではない。
敵も禰豆子を奪う為と、鬼殺隊を壊滅させる為に全総力を注ぎ込んで来ている。
ならばこの空間にはもちろん、あの上弦の鬼もいる。
「早くしのぶを、探さなきゃっ!」
陽華はそう言うと、胡蝶しのぶの姿を求めて走り出した。
ー 最終決戦 序 完