第33章 最終決戦 序
陽華達が産屋敷邸があったと思われる場所に辿り着くと、そこは一面火の海と化していた。
その中心に見える人影。無数の蕀のような槍で串刺しにされた男と、その旁にピタリと張り付く女の姿。
あれが産屋敷邸を襲撃した鬼?その近くには悲鳴縞行冥の姿も見えた。陽華達がそこに近づくと、示し合わしたかのように柱達が続々と姿を現した。
「テメェかァアア!お館様にィィ、何しやがったァアーーーー!!!」
実弥が開口一番に叫んだ。そして、その声に気付いた行冥が全員に向かって叫んだ。
「無惨だ!!鬼舞辻無惨だ!!奴は頚を斬っても死なない!!」
その瞬間、駆けつけた全員の顔つきが変わった。
長い間追い続けてきた、全ての悲しみの元凶である鬼。憎んでも憎み足りないほどの敵が今、自分たちの目の前にいる。
ともすれば、吐き気さえ催すような憎悪が、陽華の全身を包んだ。
(アイツが……無惨っ!)