第4章 嫉妬
「よしっ!陽華、足を貸せ、止血しないと。」
錆兎は自分の着ていた羽織を引きちぎると、義勇に渡す。
「義勇、これで傷口を強く押さえつけろ!」
「う、うん!」
義勇は言われた通り、傷口に布を当て押さえ付けた。
次に錆兎は、羽織を器用に紐状に引きちぎると、陽華の足に縛り付けた。
「義勇、もっと強く!!」
「うん!」
暫くすると、出血が落ち着きだした。
それを確認すると、錆兎は懐から竹筒を取り出し、その中身の液体を陽華の傷口にぶっかけた。
「つぅ…、」
陽華が痛みで顔を歪めた。
「錆兎、今のは?」
「強い酒だ。傷口を消毒出来る。」
続いて、さらに引きちぎった布で傷口をぐるぐる巻きにして、強く縛りつけた。
「とりあえず、応急処置は出来た。早く山を降りなきゃ。陽華、歩けるか?」
錆兎の問いかけに、陽華は小さく首を降った。錆兎は少し考えると、陽華に片膝を着いて背を向けた。
「ほらっ、乗れ?」
「錆兎、ごめんね。ありがとう。」
陽華は感謝を述べると、よろめきながら、錆兎の背中に寄りかかり、首に手を回した。義勇も陽華の背中を押して手伝う。錆兎が陽華を背負い、立ち上がった。