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【鬼滅の刃】水魚之交

第4章 嫉妬





ー 数年前


幼い義勇は、深い霧の山を颯爽と駆け抜けた。山の中には多数の罠。それを避けて、朝までに麓まで降りなくちゃ行けない。
何度目かの訓練だが、罠の難易度は上がっている。
空気も薄く、荒くなる息を整えながら、義勇は麓を目指して走っていた。

少し遠くに、陽華の泣いている声が聞こえた。

木々を掻き分け、その泣き声の方に急いだ。たどり着くとそこには、座り込む陽華と傍らにしゃがみこむ錆兎の姿があった。

「うぇーん!!」

泣きわめく陽華の足には、大きな獸用の罠ががっちりハマり、血が止めどなく溢れだしていた。
義勇はその痛々しい光景に圧倒されて、動けずにいた。

「なにやってる、義勇!!早くこっちに来て、罠を開くの手伝ってくれ!一人じゃ、無理だ!」

錆兎の一喝により、義勇はハッと我に返り、すぐに陽華のそばに歩みよった。

「いいか、せーの!で、そっちから引っ張ってくれ!せーのっ!!」

錆兎の号令を合図に、陽華の足に食い込んだ罠を左右から引っ張る、少しづつ罠が開かれていく。

「陽華、今だ!足を抜けっ!」

錆兎の合図で、陽華は痛みに顔を歪めながらも、勢いよく足を引き抜いた。



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