第33章 最終決戦 序
「…柱だったら、当たり前だろォが。」
実弥は照れたように目線を反らしながらそう言うと、人差し指で鼻の頭を掻いた。満更でもないその様子に、陽華はムフフとほくそ笑んだ。
そのまま、実弥の様子を見ていた陽華だったが、ふと実弥の身体の変化に気付き、驚いたように近づいた。
「ねぇ?」
伸ばした手で、実弥の二の腕を掴んだ。
「うぉっ!!」
「また筋肉量上がってない?すごーい、パンパンじゃない!」
「ばっ、バカッ!いきなり触んなァっ!」
実弥は陽華の手首を掴むとそのまま突き返し、苦々しい顔で陽華を睨み付けた。
「お前なァ。本当にそういうとこ、治せっ!」
「ん?」
「あぁっ!もう、いい!!ちゃんと綱ァ着けるよう、冨岡に言っとくかんなァ!」
実弥は吐き捨てるようにそう言うと、不機嫌な顔のまま、その場から去っていった。その場に残された陽華は意味がわからず、首を傾げながら実弥の後ろ姿を見送った。