第33章 最終決戦 序
陽華がしのぶと別れ、家の方向に歩いていると義勇の屋敷の方向から、鬼の形相を浮かべた実弥が歩いてきた。
(あれ、絶対に機嫌が超悪いわ…。)
そう察した陽華だったが、一本の道に回避する場所はなく、しょうがなく笑顔で実弥に手を降った。
「今日も機嫌悪そうだね?どうしたの?」
近づいてくる実弥に、先制して話題を振ると、実弥は不機嫌な顔をさらに歪ませた。
「どうもこうもねェー!お前の弟弟子だァ!」
「あれ?接近禁止命令出てなかった?」
「そうだよっ!なのに冨岡と稽古してたら、邪魔しやがったァ!」
「まぁまぁ、落ち着いて。(こんな時は話題を変えよう。)」
陽華は雲行きがさらに悪くなってきたのを感じて、話題を変えることにした。実弥の機嫌を損ねないように優しく微笑み掛けると、
「そう言えば、聞いたよ。」
と、違う話題を切り出した。
「アァ?」
「今日、私のところに稽古に来た隊士が言ってた。昨日は小芭内と稽古してたんでしょ?毎日、本当に頑張ってるよね。」
陽華の言葉に、微かに動揺した実弥は表情を和らげた。