第33章 最終決戦 序
期待に満ちた瞳でしのぶが問いかけると、陽華は恥ずかしそうに答えた。
「義勇にね、お嫁さんになってくれって言われたの。」
「まぁ、おめでとうございます!」
しのぶは自分の事のように嬉しくなり、顔を綻ばせた。陽華もそんな親友の反応に笑顔で答えた。
「でも、全部終わってからの話しだけどね。」
陽華のその言葉に、しのぶの顔が陰った。
「そう…ですよね。……綺麗でしょうね。陽華の花嫁姿は。」
ー 貴方の花嫁姿を見たかった。隣にいて、一緒にお祝いしたかった…。でもきっと、その頃私は…、
そんな言葉が、しのぶの頭を過った。そんなこと思ってはいけない。自分で決めたことなのだから。
しのぶは小さく頭を振ると、安心したように言葉を続けた。
「でも、良かったです。これで一つ、心残りが無くなりました。」
「……しのぶ、」
しのぶは、何かを言いかける陽華を制するように見詰めると、優しく笑った。
「…陽華、約束は覚えてますね?…もしもの時は…お願いします。」
「うん、わかってるよ。」
陽華はそう短く返事をすると、悲しげに微笑んだ。