第4章 嫉妬
「いい御身分だなァ。おいテメェ、産屋敷様よォ。」
不死川実弥が、お舘様に噛みついた柱合会議、陽華も同じくして柱へと昇格し、参加していた。
「ちょっと!やめなさいよっ!」
実弥を制止するように、陽華も口を出したが、お舘様に制された。
やっぱりお舘様はさすがで、誠意のある言葉は優しく響き、親友を亡くした実弥の傷ついた心を優しく包みこんだようだった。
・・・・
柱合会議の後、先輩柱連中に実弥は囲まれて説教されていた。そんな様子を少し離れた場所で、義勇と陽華は見ていた。
「もう、実弥ったら、いきなり御舘様に食ってかかるから、びっくりしちゃった。」
陽華が腕を組ながら、呆れ顔を浮かべる。そんな陽華を横目で見ながら、義勇が口を開いた。
「……あいつ、」
「実弥のこと?」
「……仲いいのか。」
「え?」
「名前で…呼んでる(あいつも陽華のこと呼び捨てにしてた。)」
「うん、何回か任務一緒になってね。あぁ見えて、結構いいやつなんだよね。何回も危ないとこ助けて貰ってるし。」
「強いんだな。…きっと柱になるべくしてなったんだろう。」
正当な理由で柱までのし上がった男。
「うん、すごく強い。顔も怖いし。でもね、この間なんてあんな凶悪な顔で野良犬にエサやってたのよ。ふふ、思い出すと笑っちゃう。…ん、どうかした?」
不死川実弥とか言う男のことを、楽しそうに話す陽華を顔を見てたら、さらに苛立ちが募った。
「気に入らない。」
苛立ちが思わず口に出てしまった。案の定、陽華が驚いた表情を浮かべていた。
「他人に対してそんなこと言うなんて、珍しいね?確かにお舘様に対しては失礼だったけど、実弥はその前に色々あったみたいだし。……え?ちょっと義勇、もう帰るの?」
この場にいたら、何を言うかわからなかった。この気持ちも何なのかわからない。義勇は静かに歩きだしていた。
不死川実弥
自分や錆兎以外に、陽華が仲良くしてる奴を見るのは初めてだった。鬼殺隊は男所帯だし、そんな男は他にたくさんいるのかもしれない。陽華だって年頃の女の子なんだから。
なのに、この苛立ち。
初めて感じるこの気持ち……、いや初めてじゃない。昔、何度も感じていた。