第32章 宴
「おい、そろそろお開きにすんぞ。おめーら、帰れっ!!」
宴もたけなわとなり、宴会会場となった屋敷の主、宇髄天元は好き勝手に盛り上がる面々を見回した。
「疲れて寝ちまった時透と悲鳴嶼さんの面倒はうちで見るが、その他は甘えるな。全員帰れっ!」
「ま、まてっ!甘露寺も起きない!」
小芭内が畳の上に丸まって寝てる蜜漓を見て、慌てて言った。
「それは、おまえが担いで送れ。」
「お、俺がか?」
(…俺が甘露寺を、抱き抱えて…、)
ー 伊黒小芭内妄想タイム
「甘露寺、家に着いたぞ。もう起きろ?」
「はっ、伊黒さん?うそ…、重たかったでしょ?」
「いや、そんなことない。甘露寺は羽のように軽かった。」
「じゃ、じゃあ。」
蜜漓は恥ずかしそうに小芭内の首に手を回して、抱きついてきた。
「…もう少し、このままでいてもいい?」
「か、甘露寺っ!…な…にを…、」
「…今日は朝まで…、一緒にいたいなぁ。」
「甘露寺ー!!」
「ぐはあぁっ!?」
突然、顔を両手で抑えて叫んだ小芭内を見て、天元は顔を引き吊らせて呟いた。
「…やっぱり、ド派手に拗らせてやがんなー。」