第32章 宴
「勝負なんだから、審判も必要だろ?俺がお前らの勝負、見届けてやるよ。」
天元は三人を見回すと、そう言った。そんな天元に、目の前に座った義勇が問いかけた。
「宇髄、さっき提案してきた罰則はなんだ?」
その問いかけに、天元は楽しそうにニヤッと微笑んだ。実弥と小芭内の肩に回した腕に力を込め、二人を引き寄せると四人にしか聞こえない小さな声で言った。
「そのまんまの意味だ。どうせお前ら、一人を除いては、色恋沙汰とは無縁の世界で生きてきたんだろ?…鬼殺に青春を捧げちまって、色々と拗らせちまってる、この童貞野郎どもっ!」
「うるせェー!」
実弥が顔を真っ赤にして、天元に悪態をついた。同じく顔を赤くし、どこか釈然としない表情を浮かべた小芭内は、天元ではない目の前の人物を睨み付けた。
「俺は冨岡の余裕顔に、心底腹が立っている。」
そこには、勝ち誇ったかのように微笑む義勇の姿があった。しかし実弥はその義勇を見て、何かを思ったのか、決意したように天元に向かって静かに言った。
「宇髄よォ、いいぜェ?……負けた方に出される罰則、受けてやらァ。」