第32章 宴
部屋の片隅で義勇、実弥、迷惑そうな顔を浮かべる小芭内の三人は、向かい合って座っていた。
「不死川、勝負の内容はなんだ。」
義勇にそう問いかけられて、実弥はニヤッと笑うと、
「飲み会で、勝負って言ったら、これしかねェーだろーがァー!」
と、握った日本酒の瓶を畳の上にドンッと置いた。
「先にくたばったァ奴の敗けだァっ!」
「くだらんっ、降りるっ!」
呆れた小芭内が辞退を申し上げると、義勇の目がキラリと光った。
「逃げるのか、伊黒。」
「……冨岡、なんだと?」
小芭内が心外そうに義勇を睨んだ。しかし、義勇はそれを受け流すと、実弥に視線を戻して尋ねた。
「不死川、もちろん敗けた者には、罰則があるんだろうな?」
義勇の言葉に実弥は頷くと、静かに言葉を紡いだ。
「あぁ。敗けた奴はァ……、」
実弥がそこまでいうと、突然後ろから声がした。
「負けた奴は、好きなやつに告白する!」
こっそりと聞き耳を立てていた天元が実弥と小芭内の間から、二人の肩に乗り掛かるように顔を出して、会話に参加してきたのだ。
「宇髄!?」
「なんだ、地味に面白そうなことやってんじゃねーか?」