第31章 ※媚薬
「…すまない。またお前に気を使わせてしまった。…確かに焦っていたのかもしれない。俺がずっと後ろを向いていたせいで、お前を悲しませてしまった過去を、どうすれば償えるのか、ずっと考えていたから…。」
義勇は顔を上げて、陽華の顔を見つめた。
「でも、お前を毎日求めたのは、ただ単に、俺がお前に欲情したからだ。毎日、俺の腕の中で、コロコロと表情を変えるお前が、可愛くて…愛おしすぎて…、」
義勇は両手で包み込むように、陽華の頬に降れると、その額に自分の額を寄せ、言葉を続けた。
「八年一緒にいるのに、知らない顔ばかりだ。次はどんな表情を見せてくれるのか、知りたくて止まらなかった。」
義勇の言葉に、陽華は自分の顔が火照って行くのを感じた。
「でも、それが負担だったなら、ちゃんと言ってくれれば…、」
「…………。」
「なんだ、その表情は?」
「…だって、絶対に聞いてくれないでしょ?」
「………確かに、自信はない。」
「ほらっ!」
「お前が、魅力的なのが悪い!」
「……うぅ。」