第30章 ※お仕置き
「……不死川の屋敷にも、行ったことあるだろう。…しかも一人で。」
「……なんで、知ってるのよ。」
「たまたま見掛けて、後を着けた。」
「は?」
陽華が信じられないという顔で義勇を見ると、義勇は居直った態度を見せた。
「おまえには、危機感というものが欠けている!家に上がったら、好きにしてもいいと言ってるようなものだ!」
「はぁ?いつもやらしい事を考えてるのは義勇でしょ?実弥はそんなことしません!」
「いや、見た目も言動も、あいつの方が危ないだろ!しかも、酒まで飲んで……酔った勢いでもつれ込んだらどうするつもりだったんだ!」
義勇が慌てて言うと、陽華はプイッと義勇から目線を反らした。もう売り言葉に買い言葉で止まらなかった。
「もつれ込んだらって…。別に義勇に関係なくない?あの時はもう、別れてたし…。」
陽華の開き直った答えに、義勇の唇がワナワナと震えた。
「……じゃあ、おまえはそのつもりで不死川の屋敷に行ったのか?」
「そんなわけないでしょ!」
陽華が怒って答えると、義勇は小さく「わかった。」と呟いた。真剣な表情で陽華を見つめると、低く冷たい声でこう言った。
「…それなら、今から俺がわからせてやる。男がどれだけ危険なのか。それと……、」
義勇は自分の浴衣の帯をしゅるっと外し、両手に絡めとると、胸の前でピシッと音を立てて張りつめさせた。
「俺がどれだけ、心を乱されたのかを…。」
「え?……きゃっ!ちょっとっ!」
嫌な予感で後退る陽華の腕を取り、無理やり布団の上に組み強いた。