第29章 ※逆上せあがる
「はぁ…。」
義勇はため息をつきながら、同じ湯船に浸かる陽華を後ろから抱き締めた。陽華の後頭部に額を押し付けると、不服げに呟いた。
「おまえ、あまり俺を焚き付けるような事を言うな。ドキドキして抑えが効かなくなる。」
「そ、そんなことしてない!」
義勇の言葉に、陽華は慌てて反論するように言った。
「言っておきますけど、私の方がドキドキしっぱなしなんだからね!……自覚ないかもしれないけど、義勇って格好いいんだよ?」
そう言って、振り返って義勇を見ると、口を尖らせた。
「街歩いてたら、女の子がみんな振り返って見ちゃうし。それなのに…そんな顔で見詰められて、好きだとか、可愛い…とか言われたら、ドキドキして義勇の顔、まともに見れなくなっちゃうんだか……、」
陽華が言い終わらないうちに、後ろから伸びてきた義勇の手が、陽華の顎を掴んで、自分の方に引き寄せた。
その唇にカプリと優しくかぶり付き、舌を差し込むと、ゆっくりと陽華の舌を絡めとり、その感触を味わうようにじっくりと舐め回した。
「んぅ…ぅ、んっ、」
義勇は唇を離すと、陽華を息を乱しながら、真っ赤な顔で義勇を見た。
「ちょっと、いきなりっ……、」
「……自覚がないのは、おまえの方だ。」