第26章 柱稽古の後
「ねぇ義勇、いつまでこうしてるの?」
義勇の膝にちょこんと乗ったまま、長い間抱きしめられ。若干どうしていいかわからず、陽華が尋ねた。
「もう、離したくない。」
抱きしめた腕に、ぎゅっと力を込めて、おでこに口づけした。
(なに?前と全然違う!!)
180度違う義勇の対応に、戸惑いつつも身を任せていた。でもさすがにまだすることもある。陽華は意を決して言った。
「でも、まだ稽古の片付けも終わってないし、明日から義勇も柱稽古するんでしょ?こんなことしてる場合じゃないよ。」
そう言って義勇からするりと抜き出るように離れると、義勇の顔を見た。義勇は捨てられた子犬のような顔で陽華を見つめていた。
初めて見る義勇の顔…、いや見たことある。昔よくこんな顔で見つめられたことを思い出した。