第24章 疑惑
陽華が泣きつかれて、畳の上に大の字で眠りこけてからしばらくして、遅れてきた実弥が部屋に入ってきた。
「うーっす、遅れた。」
実弥が倒れた陽華を見て、驚いた声を上げた。
「うぁっ、なんでこいつ倒れてんだ?」
「色々あったようで、打ちのめされているんです。放って置いてあげてください。」
しのぶが苦笑いを浮かべて言うと、実弥は「ふ~ん。」と呟きながら、陽華の傍らに座った。すると、突然の陽華が起き上がった。
「うおっ!」
びっくりして、実弥が小さく叫ぶと、陽華は実弥の顔を覗き込んだ。
「実弥は…、女の子好き?」
「なんだよ、いきなり!そりゃ…。おい、近けぇぞ?……つか、酒くせぇ!」
そのまま陽華は、実弥の胸を額を当ててもたれ掛かった。
「おい、おまえっ!」
顔を赤くして、慌てる実弥の胸で、陽華が呟いた。
「……気持ち…悪い…、」
「へ?」
呻きながら口を抑える陽華に、実弥は「おい、ここで吐くなっ!」と声を掛けた。
しかし、陽華は我慢出来ずに、そのまま胃から逆流した物体を、実弥の上に盛大に吐き出した。
「うあぁぁぁっ!」
実弥の心からの発せられた叫びが、宇髄家に響き渡った。