第24章 疑惑
「おかわりっ!これじゃ、足りねぇー!茶碗持ってこいっ!」
ガチャンっと猪口を机に起き、陽華が叫んだ。
「おーい、誰かを茶碗持ってきてあげてー?」
天元が部屋の外に向かって叫ぶと、妻の一人が茶碗を持ってきてくれた。陽華が新しく注がれた酒を飲み干すと、さらに悪態をつき始めた。
「錆兎のヤツ、私でさえ触れたことのない、義勇の秘密の場所に触れやがってっ!!」
「いや、それはおまえの想像だろ?まだ冨岡のケツは、無事かもしれないだろ。」
天元が笑いながら言ったが、陽華に冷たく睨み付けられて「すまん。」と、黙り込んだ。
陽華は、空になった茶碗に視線を向けると、吐き捨てるように言葉を続けた。
「いつも、そう。あいつは、私の天敵なのよっ!いつも義勇の中の、一番いい場所を陣取って、義勇の一番で…、最後の最後まで、義勇の心を持っていって……、それで…、」
……死んじゃった。ずるいよ…錆兎っ!もう勝てるわけないじゃんっ!
そのまま陽華は顔を手で覆い、肩を震わせながら静かに泣いた。
その姿に、なんとなく察した二人は、何も言わず陽華を見守り、しのぶは優しく肩を抱き締めた。