第24章 疑惑
「でも私、もう立ち直れないかも…。」
そういって、陽華は畳の上に力尽きたように突っ伏した。顔を横に向け、傍らに座るしのぶを見詰めると、落ち込んだ声でこう言った。
「だって、もしそうだったとしたら、義勇は同情で私の相手をしてくれてたってことでしょう?」
もっと早くこの事を言ってくれていたら、こんなに好きになる前に諦めがついてた。馬鹿馬鹿しくて、もう涙も出ない。
顔を伏せたまま、ピクリともしない陽華をさすがに心配して、しのぶは明るく話しかけた。
「陽華、もう今日はとことん飲みましょう!」
「わーったよ!うちで一番高い酒、出してやるから。もう忘れろっ!」
天元が観念したように言うと、陽華は突然ムクッと起き上がった。
「飲む。」
そう言うと、お猪口に注がれた酒をイッキ飲みし、その高い酒を注げと言わんばかりに、天元に空になったお猪口をさしだした。