第24章 疑惑
必死でしのぶを止める陽華を見て、天元はため息をついて、こう言った。
「そう言うけどよ。何度もヤッてたんだろ?言いづらいけどよ、それって、ただ都合いい女だったってことだろ…。」
「違うもん!全部、私が挑発したり、誘惑してただけで、義勇はしょうがなく相手をしてくれてただけなの。」
そう言いながらも、泣きそうな顔になってしまった陽華を見て、天元は慌てた。
「それに関しては俺にも責任があるよな。誘惑しろだなんて言っちまって、すまないっ!」
天元が素直に謝ると、陽華は首を降った。
「ううん、私に魅力がなかっただけ。と言うか、義勇の心の中にいるヤツに勝てなかっただけだから。」
「あ?誰だよ、それ。」
初めて聞く話しに、部屋から出ようとしていたしのぶは動きを止め、天元は驚きの表情を浮かべた。陽華はため息を付くと、呟くように言った。
「……私たちの幼馴染み。強くてかっこいい、見た目も中身も男前の少年。」
「まぁ!」
陽華の言葉に、しのぶが両手で口を抑えて頬を赤らめた。
「なんだよっ!冨岡ってそっちの方なのか?そりゃ、おまえがどんだけ誘惑したって無理だろっ!」
天元が納得したような表情を浮かべながら、吐き捨てるように言った。
「…え?」
「陽華の色気にも靡かないなんて、可笑しいと思ったんだよ!女に興味ないんじゃ、しょうがねぇーよ!」
「は?なんで、そうなるの?」
「だって、そいつに負けたんだろ?」
天元の言葉に、陽華はやっと気づいたかのように驚きの表情を浮かべて、口許を抑えた。
「…そうか、そうだったんだ。」
そう言われて見れば、思い当たる節が有りすぎる。いつでも義勇は錆兎の後を付いて回ってたし、錆兎のことを語る時の目は、キラキラ輝いてた。
そういえば、あの時も……。