第3章 帰郷
陽華と義勇が森についた頃には、辺りはもう薄暗くなっていた。
今日は曇っていて、月明かりも少ない。
森は来る者を阻むように、どんよりとした空気を放ち、陽華達を歓迎してくれているようには見えなかった。
そんな森を見て、陽華が呟いた。
「なんか、薄気味悪い森だね…。」
ちっとも怖くないのに、怖いふりをしながら、義勇の羽織の袖を掴んで、寄り添ってみる。
しかし義勇は、気にする様子もなく、辺りを見渡すと、
「結構広いな。二手に別れよう。俺はこっちに行く。」
そう言って、捕まれた羽織を翻すと暗い森に消えていった。
陽華はその後ろ姿を見つめながら、
(あれ?本当に避けられてるな…。)
と思ったが、ブンブンと頭を降って気持ちを切り替えた。
「うん!私は嫌われてない!!」
そう自分に言い聞かせるように叫ぶと、義勇とは反対の方向に走り出した。