第3章 帰郷
柱の要請を受け、陽華と義勇に、とある町へ行けと、司令が出た。
どうやら、その町の外に広がる森に鬼がいるらしい。階級が下の隊員が何人かで向かったが、消息絶っていた。
義勇とは町の入り口辺りで待ち合わせた。陽華が着くと、義勇はもうすでに着いていて、ぽつんと一人で立っていた。
「義勇ー!」
陽華は義勇に近づくと、ハニカミながら笑顔を向けた。義勇とはあの柱合会議の日以来だった。
なんで、義勇が逃げるように去っていったのかもわからない。手紙の返事も素っ気ないものに変わっていた。
陽華がどんなに考えてもわからなかったが、会わない期間中に気持ちを切り替えた。次に会った時は何もなかったように接しようと決めていた。
(だって、別れよう。って言われてないもん!!)
陽華は義勇に精一杯の笑顔を向けて、話しかけた。
「義勇、久しぶりだね。会えなくて、寂しかったなぁ。」
と、陽華はさりげなく義勇に近づき、寄り添うように身を寄せた。それを義勇は一歩進んで、華麗に避けた。
拠り所をなくした陽華は、転びそうになるのを寸前で留まった。
「もう日が暮れる。森に行くぞ。」
義勇はそう言うと、すたすたと森に向かって、歩きだしてしまった。
「ちょっと義勇、待ってよー!」
陽華は慌てて義勇を小走りに追いかけた。