第23章 弟弟子
まさかの展開に炭治郎は驚きの声を上げた。しかも義勇の焦燥した姿を見るかぎり、どちらから別れを切り出したのか、一目瞭然だった。
「…まさか、フラレたんですか?」
炭治郎の正直すぎる発言に、胸を抉られた義勇は、思わず炭治郎を冷たく睨んだ。
「あ、ごめんなさいっ!だって、まさか陽華さんからなんて、想像もつかなかったからっ!」
義勇の放つ匂いに怒りが混じったのを感じ、炭治郎は慌てて言葉を続けた。
「…だって、義勇さんといる陽華さんからは、いつだって幸せの匂いがしてたし、本当に義勇さんを大切に思ってて、本当に好きだって…。そんな匂いが全身から溢れてて…なのに?………あれ?義勇さん、どうしました?」
炭治郎の言葉に、完全に心が折れた状態で固まってしまった義勇の顔を、炭治郎は覗き込んだ。義勇は自虐的に微笑むと小さく呟いた。
「…炭治郎でさえ、気づいていたのにな。」
すると義勇は突然、覚醒したように目を見開き、炭治郎を見つめた。
「炭治郎、行くぞっ!」
「え、どこに?」
突然の歩きだした義勇の後を、わけのわからないまま、炭治郎は追いかけた。