第22章 柱合会議
柱合会議の後、陽華はさっさと出ていった義勇を探していた。深い竹林に囲まれた道の先に、義勇の姿を発見して走り出した。
「義勇、待って!!」
義勇が止まり、静かに振り向いた。
走ってきた陽華は義勇の前にたどり着くや、荒い息を整えて言った。
「あんな言い方はないよ。ちゃんと説明しなきゃ、みんな解らないよ。」
「必要ない。」
「なんでっ!」
「俺は柱じゃない。その理由を、1から説明すればいいのか?」
「うぅ…、それは…そうだけど…。」
「お舘様に言われて、柱合会議には出席はする。だが、それ以外の柱の仕事をする資格は、俺にはない。」
それだけ言うと、義勇はその場を去ろうと陽華に背を向けた。
その姿にとうとう陽華の堪忍袋の緒が切れた。
「……いつまで、イジイジしてるの?」
義勇の背中がビクッと震えた。陽華は自分でも抑えきれないほど、気持ちが高ぶっていた。
「自分は柱じゃないとか、資格がないとか……、」
感情が抑えきれずに、身体が震えてくるのが、わかった。
「私だって、選別の時のこと、錆兎のこと、死ぬほど後悔したし、辛かった…。」
瞳から、静かに熱いものがこぼれてきて、頬を伝い落ちていく。
「確かに私達は、おまけで受かったのかもしれないけど、柱の称号を貰えるまで頑張ったのは、義勇だよ?
誰それと貰えるもんじゃないでしょ!!いつまで錆兎の影を背負うの?死ぬまで?」
後から後から言葉が出て来て止まらなかった。ずっと義勇に言いたいことだったから…。
「俺はっ…、」
義勇が振り返り、言葉を返そうと口を開いた。
しかし、涙でグショグショの陽華の顔を見たら、何を言っていいかわからなくなり、言葉を飲み込んだ。
「私とのことだって、義勇はずっと無理してるよね。なんで好きじゃないのに、私に付き合ってくれてるの?」
「それは…俺は、錆兎の代わりに…、」
思ってもいなかった名前が、義勇から出て来て、陽華は驚きに目を見開いた。