第20章 蛇柱
「炭治郎に聞いたんだけど、杏寿郎が亡くなった列車任務の時、鬼は汽車と融合してたって…、もしかしたら、この建物と…、」
「…そんな馬鹿な。」
「でもここが完成したら、多くの人間が行き交うわけだし、鬼からしたら、格好の餌場になる。」
「確かに…。でもだとしたら、本体の頸は何処にある?」
「………。」
そう問いかける小芭内の身体が突然、ふわりと揺れた。
急に足元がヒュンとなる感覚に全身が包まれる。小芭内のいた床に、穴が空いたのだ。そのことに気づいた時はもう遅かった。
(落ちるっ!)
そう小芭内が思った瞬間、脇腹辺りに衝撃が走った。
気づいたら小芭内は、フロア内の床をゴロゴロ転がっていた。陽華が小芭内に体当たりをしたのだ。
小芭内は直ぐ様体制を建て直し、穴の方に振り返ったが、陽華は足を踏み外し、穴の中に消える寸前だった。
小芭内は走りだし、陽華に向かって手を伸ばした。が、その手は空を掴んだだけだった。
「氷渡ー!!」
小芭内の叫びも虚しく、陽華は暗い穴の中へと消えていった。
小芭内は舌打ちすると、辺りを見渡した。そして、非常階段の表示を見つけると走り出した。