第20章 蛇柱
二人を乗せたエレベーターは、勝手に最上階で止まった。確実に罠だと分かっていたが、二人は躊躇うこともなく、外に出た。
出た瞬間、先ほどよりも強い違和感を感じ、二人は同時に刀を抜いた。
すると今度は突然、目の前が景色が歪んだようにうねりだした。建物事態が生き物のように動き出し、立っているのも困難な状態で陽華はよろめいた。
「え?何これっ!?」
「血鬼術かっ!」
警戒する二人の耳にどこからか、笑い声が聞こえてきた。
「フフフ。ようこそ、私の領域へ。」
気がつくと、二人の前方に一匹の鬼が佇んでいた。鬼は二人の格好を見ると、嬉しそうに微笑んだ。
「また、鬼狩りか。本当に懲りないね、君達も。私の領域では…、」
黙って鬼の話を聞いていた陽華だったが、いきなり蛇の幻影が目の前を覆った。
ゴトッっ。
何かが音を立てて、陽華の目の前の床に転がってきた。先ほどまで嬉々とした表情で自分らに語り掛けていた鬼の頸だった。
突然の出来事に、陽華は小芭内に向かって言った。
「ちょっと、小芭内!話くらい最後まで聞いてあげようよ。」