第20章 蛇柱
建物に入った瞬間、何とも言えない違和感が二人を包みこんだ。小芭内は違和感の正体探すため、辺りを見回した。
「確かに何かいるな。氷渡、お前は鼻が効くと聞いた。鬼がどこにいるか解るか?」
「鬼の匂いが建物中に蔓延してて解らない。こんなにところ構わず匂うのは、はじめて…。」
「そうか。俺の鏑丸もずっと警戒している。とりあえず、進んでみるか。」
奥に進むと、壁に四角い扉が見えた。その扉を見た瞬間、陽華は「えれべーたーがあるっ!」と、テンションが上がった。
「小芭内、えれべーたー乗ったことある?」
「いや、ない。」
「乗ってみたいよね?」
そう言って、陽華は試しにエレベーターのボタンを押してみた。
「いや、電気が通っているとは思えない。使えないだろ…、」
しかし、小芭内の言葉を他所に、エレベーターはポーンと音を立てて開いた。
「開いた!」
そう言って、エレベーターに乗り込もうとする陽華を小芭内が止めた。
「いや、待て!どうみても罠だろう!」
「でも、どうせ鬼が何処にいるかわからないなら、乗り込んでみるって言うのも手じゃない?鬼のところに連れて行って貰えるかもしれないし。虎穴に入らずんば…的な?」
「思っていたより、大胆な行動に出る奴だな。…わかった、乗ってみるか。」
そう言って、小芭内はエレベーターに先に乗り込んだ。それを見て、陽華も慌てて乗り込んだ。