第20章 蛇柱
目的の建物の前に立って、あまりの大きさに陽華は声を上げた。
「小芭内、見て!大きい!!」
10階くらいはあるだろうか。この時代には珍しい高層建築。陽華は同意を求める為、小芭内の方を見たが、小芭内は不機嫌な顔でこっちを見ていた。
「前から思っていたが、お前はどうして俺を下の名前で呼ぶ?」
「他の人のことも下の名で呼んでるから、その癖で…かな?それに仲良くなったみたいで、嬉しくない?」
そう言って微笑えみかける陽華を、小芭内は冷たい目でみると、
「…俺はちっとも嬉しくない。」
と、はっきりと言った。そんな小芭内に若干イラついたが、陽華は開き直ったように言葉を続けた。
「最終的には、お舘様を耀哉君。って呼ぶのを目標にしてるの。」
「それは俺が絶対に許さん。」
「さすがに冗談よ。さ、行こ。」
そう言うと、陽華はさっさと建物内に入った。