第20章 蛇柱
任務の為、指定の場所を訪れた陽華は、今回の合同任務の相手を見て、思わずため息をついた。
陽華のその様子に目の前にいたお相手、伊黒小芭内は怪訝な表情を浮かべた。
「ため息をつきたいのは、こっちの方だ。」
そう言って小芭内は、フンっと鼻を鳴らした。
蛇柱・伊黒小芭内は、陽華が若干苦手とする人物だった。
実弥と同じで義勇を嫌っているが、実弥と違うところは柱になる前もなってからも、そんなに行動を共にしていないこと。その為、義勇共々嫌われているふしがある。
そんな陽華の勘は当たっていた。何も言わない陽華に対して、小芭内ははっきりとこう言った。
「いいか、俺はお前が嫌いだ。冨岡なんぞに盲信する馬鹿は、おまえぐらいだからな。だいたい、いつも冨岡に気を使って、周りに気を使って、へらへらとしてる姿が偽善者のようで気に入らない。お前は…、」
「あーはいはい。任務に行きましょうね。」
陽華は小芭内のネチネチ攻撃を中断させ、今回の任務先の建物に向かって歩き出した。
今回の任務先は建設中の商業施設。作業員が次々と消えていると裏で噂の場所だった。
消えている作業員が全員、日雇いだったため、逃げたのだろうと結論に至り、問題になっていなかったが、行方不明者の家族達の声が鬼刹隊関係者の耳に入り、鬼刹隊の出番となった。
もう何人か隊員が調査に向かったが、全員と連絡が途切れていた。