第18章 遊郭
「なんの話しをしていた。」
「あ…うん、あのね。」
義勇の問いかけに、陽華が説明しようとしたら、背後から天元が首出してこう言った。
「冨岡、おまえもイケると思うだろ?こいつの花魁姿。」
「…花魁?」
話の見えない義勇は首を傾げたが、天元の説明を聞くなり、表情がスゥーッといつもより冷たくなった。
「…遊郭に…潜入捜査?…遊女?」
義勇の声が一段と低くなった。
「…絶対に駄目だ。」
「そうだよね、義勇もそう思うよね。私なんかが花魁なんて…、」
「でも俺、陽華さんと任務行ってみたいです!」
何も知らない炭治郎が無邪気な笑顔でそう言うと、陽華は嬉しそうに炭治郎に、
「ありがとう。」
と言った。
しかしその背後から、義勇の鋭い眼光が刺さり、
「いや、でも、今回は辞めといた方がいいかなー。」
と、炭治郎は意見を変えた。
炭治郎達と陽華がキャッキャッしてる隙に、天元の近くまで来た義勇は、陽華に聞こえないように、天元に向かって暗い静かな声でこう言った。
「次、陽華にそんな任務を持ちかけたら、おまえを殺す。」
義勇の本気の圧を感じ取って、天元は苦笑いをしながら、こう言った。
「ははっ、熱いねェ。でもそれ、本人の前で派手に言ってやれよ。」
結局、陽華は新しい任務が入ったため、天元には同行出来ず、義勇は胸を撫で下ろしたのだった。