第18章 遊郭
蝶屋敷を後にした一行は、鬼殺隊本部の道を歩いていた。先を歩く、天元に陽華は思っていた疑問を投げかけた。
「天元さん、女子じゃなくて良かったの?」
陽華の問いかけに、天元は振り返り、炭治郎達をまじまじと見つめた。
「そうだったけど、まだこいつら小さいし、いけるんじゃねぇーかな。んー、でも陽華、おまえでもいいな。」
天元は陽華の顔をまじまじと見つめた。陽華は
「え、私?」
と、驚いたように目を見開いた。
勿体ぶるように考え込む天元に、伊之助がしびれを切らして、質問した。
「で?どこ行くんだよ、オッさん。」
伊之助の問いかけに、天元はニヤッと微笑みながら、答えた。
「日本一、色と欲に塗れたド派手な場所。鬼の棲む、遊郭だよ。」
「…ゆ、遊郭?」
まさかの場所に、陽華は声を上擦らせて呟いた。驚く陽華の両肩に天元は手を置き、
「大丈夫だ!陽華、おまえなら吉原一の花魁になれるっ!」
と、ウインクした。
「…潜入なの?…しかも、遊女って…、」
陽華が頬を赤らめた。天元は陽華の耳元に顔を近づけるとこう言った。
「安心しろ。本当に客を取れなんて、いわねぇーよ。うちの里の、いい眠り薬を渡してやるから、客なんて眠らせてやればいい。」
「あっ、そういう事なら…、私にも出来るかな?」
「な、余裕だろ?後は、そうだなぁ…。お前のその顔と身体、ちらつかせて、甘えるように接客してやりゃあ、男なんてイチコロだろうな。」
天元はそう言いながら、陽華の身体を値踏みするように、舐め付けた。
「ちょっと、やらしい目で見ないでよ。変態!」
その視線から逃れるように、両手で身体を隠す仕草をした。
「…それに駄目よ。私だって柱なんだから、忙しいし。せめてお館様に許可、得なくちゃ。」
そんな感じで話し合う陽華と天元の向こう側に、炭治郎は冨岡義勇の姿を発見して呟いた。
「あ…冨岡さん。」
炭治郎の声で、義勇に気づいた陽華は、近づいてくる義勇に、嬉しそうに喋りかけた。
「義勇も帰ってたの?」
陽華の問いかけに、義勇はコクリと頷いた。