第18章 遊郭
ー後日談
「うぇーん、天元さーん!」
陽華は、泣きながら満身創痍の宇髄天元に抱きついた。
ここは吉原。遊郭街は破壊され、焼け野原が広がっていた。
別の任務で近くにいた陽華は、突然の応援要請に蛇柱・伊黒小芭内とともに駆けつけていた。
自分の胸で泣きじゃくる陽華を見て、天元は後悔の言葉を口にした。
「陽華、やっぱりお館様に無理に頼んでも、お前を連れていけばよかった。」
「天元さん、ごめんね。」
泣きながら謝ると、天元は残っている方の手で陽華の頭を撫でた。
「やっぱ、おまえは可愛いなぁ!どっかの誰かと違ってっ!」
そう言って、陽華の傍らに立つ、小芭内を睨んだ。
「コイツ、さっきからネチネチネチネチしつこいんだよ。こっちは、片目に片腕失って、明日の生活だって儘ならない常態なのによ。」
天元の言葉に、小芭内は「フン!」と鼻を鳴らして、そっぽを向いた。その態度に、一応陽華も怒る。
「ちょっと、小芭内!少しは天元さんを労いなさいよ!」
陽華の加勢に調子に乗った天元は言葉を続けた。
「ほんとだよ!…たく、腕一本失くなったら、明日からどーやって、三人同時に抱けばいいんだよ。」
天元の言葉に傍らにいた嫁三人は頬を赤らめた。陽華と小芭内は天元に軽蔑の眼差しを向けると、
「うわっ、サイテー。」
「死ね。」
と、冷ややかに言った。その姿を見た天元は、二人に向かってこう言った。
「なんだよ、その顔は!こっちは死活問題なんだからなっ!それに陽華、俺は見てたからな。今、泣きながら俺のところに来たけど、先に竈門炭治郎の方に行っただろ!!」
確かに天元が小芭内にネチネチされていた頃、陽華は炭治郎の方にいた。
「だって、弟弟子ですもの。」
陽華が悪びれることもなく答えた。
「やっぱりお前らは誰一人として、可愛くねー!!」
吉原に天元の怒号が響きわたった。
ー遊郭 完