第18章 遊郭
鬼殺隊、氷柱・氷渡陽華は、任務終了の報告に、鬼殺隊本部に訪れていた。
お館様への報告を終えた陽華は、本部に来たついでに、古傷の様子を見て貰おうと、蝶屋敷に顔を出すことにした。
蝶屋敷に近づくと、騒がしい声が聞こえて来て、陽華は首を傾げた。
「人には人の事情があるんだから、無神経に色々とつつき回さないで頂きたい!!アオイさんを返せ!」
(ん?この声って…、)
門まで近づくと、門の上に宇髄天元の姿が見えた。脇に誰かを抱えていた。
「ぬるいねぇ。このようなザマで地味にぐたぐたしてるから、鬼殺隊は弱くなって行くんだろうな…」
「何、どうしたの?」
門の向こう側から、ひょこっと陽華が顔を出すと、存在に気づいた炭治郎が叫んだ。
「陽華さん!人さらいです!」
「人さらいじゃねぇ!女の隊員必要なんだが、適当なのがいねーから、コイツ連れて行くんだよ!」
陽華は炭治郎の近くまで行くと、門の上の天元を見上げた。
「天元さん、アオイは駄目よ。しのぶが任務でいない間、誰が蝶屋敷の診療所を看るのよ。」
陽華が諭すように天元に言うと、天元はチッと舌打ちした。すると炭治郎が突然叫んだ。
「アオイさんの代わりに、俺たちが行く!」
気がつくと、善逸と伊之助が天元を取り囲んでいた。
「あっそォ、じゃ一緒に来て貰おうかね。」
天元は思いの外、あっさりと引いた。