第17章 炎柱
日が完全に昇ると、隠の面々が現れた。義勇は手当てをされて命に別状はないが、重症の為、本部行きとなった。
杏寿郎は新しい任務が入ったと、陽華に挨拶をして、その場を去ろうとした。しかし、陽華がその後ろ姿に声を掛け、引き留めた。
「杏寿郎、今日は本当にありがとう。私、なんで煉獄家の人間が、代々炎柱を継いで行けたのか、杏寿郎を見てわかった気がする。炎柱の名に恥じない強さ、大きな器と熱い心。それに優しさを持ってるからなんだね。」
陽華の言葉に、杏寿郎は段々と顔が熱くなっていくのを感じて、恥ずかしそうに「ありがとう。」と呟いた。
「私、杏寿郎と出会って、煉獄家のこともっと知りたくなった。だから、私も絶対に柱になるっ!」
そう宣言した陽華に、杏寿郎は優しく微笑み、手を差し出した。
「うむ。共に頑張ろう!」
その手を陽華も微笑みながら、「うん!」と、握った。
そして杏寿郎はその場を後にした。炎のように燃えあがる髪を、朝日に耀かせながら。