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【鬼滅の刃】水魚之交

第17章 炎柱





陽華は急いで義勇の隊服を脱がした。義勇の横っ腹に入った鬼の爪の切り傷はかなり深く、義勇の肉をえぐり、血が止めどなく溢れだしてきた。

陽華は急いで自分の羽織を脱ぐと、丸めて傷口を強く押さえ付けた。
しかし、血は後から後から流れて来て、陽華の羽織を赤く染め上げていくだけだった。

「…ダメっ!全然血が止まらない…、やだ…義勇っ、死なないでっ!どうしよう…どうしよう…、」

義勇の傷口を抑えながら、ガタガタと震えだす陽華の手を杏寿郎が掴んだ。

「落ち着けっ、陽華!」

杏寿郎に一喝され、陽華は怯えたような瞳で杏寿郎を見た。

「君がここで慌てては、助かるものも助からない。…もっと傷口全体を覆うように、圧迫するんだ。俺がやろう。」

半ば放心状態の陽華を無理矢理退かすと、杏寿郎は義勇の横に立ち、傷口を全身を使って強く押さえ付けた。

陽華は義勇の血で真っ赤に染まった手を震わせながら、胸の前で組んでそれを見守った。

長い時間が経ったように陽華には感じられた。しばらくすると、杏寿郎はフーッと息を吐き、義勇に掛けていた力を緩めて陽華を見た。

「もう大丈夫だ。」

陽華は涙でぐちゃぐちゃになった顔で、義勇を見た。義勇の白い肌は血の気を失って、さらに青白くなってはいたが、呼吸は落ち着いていて、陽華は安堵した。

「杏寿郎、ありがとう!!」

陽華は杏寿郎に思いっきり抱きつき、泣き出した。はじめは驚いた杏寿郎だったが、すぐに優しく抱き締め返すと背中をポンポンと叩いた。

「俺は少し手伝っただけだ。後は冨岡自身の力だ。気を失いながらも、呼吸で止血に努めていた。すごい男だ。」

杏寿郎はそう言うと、笑顔で義勇の方を見た



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