第17章 炎柱
「陽華。一つだけ、うちの炎柱の書を、読む方法がある。俺の嫁になればいい!」
「えぇっ!?」
「なっ!?」
杏寿郎のいきなりの提案に、陽華は驚きの声を上げた。義勇も驚いて普段発することのない大声を上げた。
「煉獄家に嫁げば、煉獄の人間になるわけだから、誰も文句は言わない。それに俺は、次代の炎柱になる子供を成さなければならない。」
そう言って、杏寿郎は陽華の両肩を掴んで、まっすぐ顔を見据えた。
「陽華、君は強い!君と子を成せば、 丈夫で強い子が生まれそうだ。」
「え?そんなこと急に言われても…、」
陽華がしどろもどろに答えた。すると黙って聞いていた義勇が、横から杏寿郎の肩を掴んだ。
「煉獄、少し落ち着け。陽華が困惑している。」
義勇の言葉に、杏寿郎はハッとして陽華から手を離した。
「そうだな。返事は急ぐまい。だが、心に留めて置いて欲しい。」
杏寿郎はそう言って、陽華に向かって穏やかに微笑んだ。陽華は返事に困り、傍らにいる義勇に目線を送った。
「義勇、私…、」
「俺に聞くな。お前の問題だ。」
義勇は短くそう答えると、陽華を一瞥することなく「もう行くぞ。」と歩き出した。
残された陽華は悲しそうに顔を曇らせた。
しかし、杏寿郎の視線に気づくと、ニコッと微笑み、「私たちも行こう。」と明るく言った。