第16章 ※初恋
義勇は深く息を吐くと、陽華を見た。陽華は敷物の上に身体を投げ出した格好のまま、意識を失って寝息を立てていた。
「…また無理をさせてしまった。」
義勇はそう言って反省した。最近陽華を目の前にすると、歯止めが効かなくなる。愛おし過ぎて、可愛過ぎて、もっと啼かしたくなる。
今も寝てる陽華にいたずらしたら、どんな反応するのか、なんて考えている自分がいた。
「…最低だな。」
無邪気な顔で寝ている陽華を申し訳無さそうに見た。乱れた髪を整え、これぐらいならと、小さな唇に指で触れた。
(柔らかいな。…さっきこの唇で、俺のを…、)
義勇はハッと我に帰り、首をブンブン降った。もうこんなときは寝るに限る。義勇は陽華の隣に横たわり、自分の羽織を被って目を瞑った。
しかし、思い直したように羽織を捲ると、隣で寝ている陽華を引き寄せ、その胸に抱き締めた。その上から羽織を被り直す。
厭らしいことを考えないよう、無心で目を瞑ると、陽華の心地いい体温も相まって、次第に眠気が襲ってきた。
心地よい微睡みの中で、義勇は誓った。
いつか…自分の責務を果たすことが出来たなら、錆兎に恥じない自分になれたら、その時に自分が生きていたなら、陽華に本当の気持ちを伝える。
陽華、お前を心から愛してると…。