第15章 同期
「今、天と地ほどの差があるなって、思っただろ?わかってるよ、こいつは柱だし、俺なんか鬼殺隊に入って長いのに、階級は全然上がらないし……」
村田が自虐めいた口調でいうと、陽華は村田の背後から慰めるようにぽんぽんと肩を叩いた。そして、炭治郎達の方に向き直ると、こう言った。
「誤解ないように言っとくけど、村田は決して弱くないのよ。力もあるし、剣筋も悪くない。頭だって悪くない。……ただね、一つだけ。呼吸がめちゃくちゃ下手くそなのよ。」
「それって、あんまり援護になってない気がするけど。」
善逸がするどく突っ込みをいれてくる。
「きっと、呼吸があってないんだと思うけど。早く自分にあった呼吸を見つければ、結構いい線まで行けると思うのに。誰かさんに憧れて水に執着するからいけないのよ。」
「うるせー!」
陽華の冷静な分析に、思わず村田は突っ込んだ。それを聞いた炭治郎が真面目な顔で言った。
「村田さん、水だったんですね!」
「ほらっ、一緒に戦ったのに見えてないじゃない。」
「うぅ…。どうせ、俺の水は薄いよ。」
村田がガクッと項垂れた。その時だった。
「こんにちわ。」
突然現れた人物の声に、村田はまたもやビクッと身体を震わせる。声のする方を見ると、蟲柱・胡蝶しのぶが立っていた。
「あっ、どうも。さよならっ!」
しのぶの突然の出現に、村田は慌てて病室から出ていった。その様子に、陽華はクスクスと笑った。