第13章 ※潜入任務
屋敷が寝静まった頃、陽華と義勇は隊服に着替え、目的の扉っぽいの前に来ていた。
義勇がそっと触れると、小さく音を立てて、扉が開いた。中は階段になっていて、下へと続いていた。かすかに下の階から、明かりが漏れている。
「もう中に誰かいるな。急ごう。」
義勇と陽華は静かに地下室への階段を降り始めた。
とれだけ降りただろうか、階段の先は広い空間になっていた。無機質なコンクリートの壁で囲われたその部屋は、噎せるような鬼と血の匂いに溢れていた。
部屋の中央には、手術台のようなベッドが置かれ、その周辺の台には拘束具や怪しい器具が散乱していた。
「…胸くそが悪くなる部屋ね。」
陽華が吐き捨てるように言うと、奥の暗がりの方から、誰かが啜り泣くような声が聞こえ、陽華は視線を向けた。
暗くてよく見えないが、鉄格子のようものが嵌められている。
義勇と陽華が声のする方にゆっくりと近づき、鉄格子の奥を覗くと、そこには数人の女の子が囚われていた。
半裸に近い姿で、腕に拘束具を嵌められ状態で、身を寄せ合っていた。義勇は慌てて視線を反らした。
女の子達は、陽華達の存在に気づくと、怯えた顔をした。陽華は安心させるように、微笑むと、声を出さないでほしいと人差し指を唇に当てた。
「あなた達を助けに来たの。あの男はどこ?」
陽華が小さな声で訪ねると、女の子の一人がさらに奥の壁を指差した。
その方向を見ると、扉のようなものが見えた。陽華は女の子に「ありがとう。」と言うと、立ち上がった。