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未来に繋がる前日譚【赤髪の白雪姫】

第1章 最初の出逢い





 「父上が勝手に引っ張り出してきた側近など認められるか!」
 「そう言われましても…」
 「大体なぜ女なんだ!女ならば女らしく侍女かメイドに収まっていればいいだろう!」


 おっと。喧嘩を売りましたね?言い値で買いましょう。


 元より気も長い方ではなく、やられたら倍にして返す性分だ。泣き寝入りなど以ての外。
 戦いのゴングが鳴り響くのを感じ、サラはすっと目を細めた。

 「____殿下のお考えはよく分かりました」

 にっこりと綺麗な笑みを浮かべれば何かを感じ取ったのかびくりとラジが肩を震わせる。

 「ならばどのような者であれば側近だとご納得して頂けますか?」
 「え?そうだな…それはやはり、文武ともに秀で私のサポートもしっかりできて気の利く…」

 突然の質問にうろたえるもたどたどしく側近に求める要素を羅列するラジだったが、無言で己を見つめるサカキの視線に気づき慌てたように切り上げた。

 「そ、それに護衛!第一王子である私の側近ならば護衛も完璧にできなくてはな!まぁ、お前のような細腕じゃそんなこと無理であろうが」
 「分かりました」

 言い終えて胸を張るラジに向かってサラは深く頷く。

 「殿下の言うことも尤もです。ですが私も陛下より頂いた任、何もせずこのままおめおめとは帰れません。ですからこういたしましょう」

 今日よりひと月、お試し期間とさせてください。

 「お試し期間……?」
 「はい。その間に私は自分が有能であると殿下に示したく存じます。ひと月後、それでも殿下が認めぬと思えば私も潔く今回の任、辞退致しましょう」

 どうでしょうか、と投げかければラジは挑発的に口元を釣り上げた。


 「いいだろう。せいぜいひと月あがけばいい。もっとも徒労に終わるだろうけどな」
 「殿下の広いお心に感謝致します」

 ははははは
 うふふふふ

 方や得意げに、方や闘志を潜ませ笑い合う少年少女を見て。
 第一の側近と侍従は黙って目を見合わせ首を振るのであった。



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