第1章 「夢の中のアイツ」
「チャーハンと大葉ギョーザを頼むよ」
「おい!アルマ!!俺の大葉ギョーザだぞ!」
「ケチケチすんなよ、カイマン。私はアンタと違って客なの。それに昨日からずっとギョーザの口になってたんだ。」
「俺の口はいつだってギョーザの口だぜ。」
「アンタの目は節穴なの?カイマンのはトカゲの口だよ。」
「うるせー!!」
「ははは。はい、お待ちどおさま。」
「ありがとう。いい匂い~いただきます!」
「ニカイドウ!俺にももう一皿!」
「ん~うんまいいい~」
ギョーザを頼んだのは久しぶりだけど、本当にニカイドウが作るギョーザはおいしい。カイマンだけじゃなくサーティーンも毎回注文する理由がわかるよ。
「はいよ、カイマン。」
「うひょーサンキュー!」
注文を受けてた料理を作り終えたニカイドウは私の隣に座った。
「今夜はアルマさんも広場にでるんだっけ?」
「うん、今年はうちの患者だった死体が多いからね。ホール自治会との現場の手伝いや書類処理にプレート管理もろもろを請け負ってるんだ。」
今日はホールで年に一度やってくる恐怖の夜、
その名も“リビングデッド・デイ”
魔法使いに殺された人間が空に溜まった魔法使いのケムリの影響を受け、ゾンビになって甦り人間たちを襲う夜....
ゾンビを野放しにするわけにはいかないので、ホール中の腕力や体力に自信のあるやつらが参加して退治する。
死体の首には埋葬時に番号の記されたプレートが埋め込められており、プレートを集めれば景品も出るので景品目当ての参加者も多いちょっとしたお祭りだ。