第1章 「夢の中のアイツ」
ザシュッツ!!!!!
バキバキバキ。
ド キ ン ッ
え?
ビリビリビリビリ。
「さっさと くたばりやがれッ!!」
ブシャアアアアアアア
「カイマンッ!!!!!!!!!!!」
名前を呼ばずにはいられなかった。心臓男がカイマンの頭を吹っ飛ばした。
駆け寄りたい。
駆け寄って私に何ができる?
「もう二度と使わないつもりだったが… ぐっ!」
唖然としていたらいつのまにかさっきまで倒れていたはずのニカイドウがカイマンの体を支えて指先を食いちぎった。彼女は生きていたんだ。
食いちぎられた指先から黒いケムリがゴッと噴射するとニカイドウの後ろに白いドアが現れた。
「じゃーな。」
ギィイ
バタン。
「あの女......魔法使いだったのか!」
「死んだフリして、逃げるチャンスをうかがってたってワケか。ダマされた!!女を逃がしちゃってスミマセン!」
「いや、トカゲもだ。奴は多分まだ生きている。」
「首をハネたのに!?」
長っ鼻の言葉でハッとした。あのケムリと扉はうわさに聞く魔法使いの証なのか。初めて見た。
あの扉はホールと魔法使いの世界をつなぐものらしいが、一瞬見えた扉の向こうは恐らくホールだ。
ホール内のどこか、ここから離れたところへ逃げたらしい。しかしふたりともあんな傷で歩けるワケがない。
そう考えると私は急いでふたりを探しに行った。
心臓男曰くカイマンは生きているらしいがどう考えても信じがたいし時間の問題かもしれない。
たのむ、間に合って.....!
この恐ろしい一夜が、もう会うことはないと思っていた幼なじみとの再会だったと、アルマはまだ知る由もない......。