第1章 「夢の中のアイツ」
よく火星人のイメージで描かれるような足をした男とすれ違った。その前には大きい牙を生やした男も見かけた。
今日も相変わらず混沌とした町だ。
ここはホール、魔法使いの世界と“ドア”でつながった町。魔法使いは魔法の練習のためにこっちへ来ては人間を練習台に使う。
そのためたくさんの魔法被害者がいるが、だれも歯向かうことはしない。
あの二人以外は。
カラン
「こんちはーニカイドウ!あ、カイマンも。」
「よぉ!」
「アルマさん!いらっしゃい。何にする?」
そう、この二人。
彼らとは、特にニカイドウとは長い付き合いで、彼女がまだチビニカイドウだったころからの付き合いになる。
私はいつものようにカイマンの向かいに座った。
ニカイドウは、定食屋「空腹虫(ハングリーバグ)」のを営んでいる。彼女の作る料理は絶品なので、ホールの中でも魔法使いがより多く出没する危険な地区にあるが足しげく通ってしまうのだ。
カイマンはトカゲの頭をした大男で魔法被害者だ。彼はどんな魔法使いの実験台にされたか以前に記憶がなく元の顔も覚えていない。そのため魔法使いを見つけて噛み付いては殺している。
なんでも口の中には男が存在していて、その男はカイマンに魔法をかけた魔法使いを知っているのだとか。
とにかく人は二人はかなり強い。