第7章 NOVE
夜に出かけるのはなんだか気分がわくわくする。
雪菜は綺麗に化粧をし直して、髪の毛も丁寧に巻く。
バーに行くのだから、ちょっとオシャレしていかないとな・・なんて盛り上がった気分のまま少しよそゆきの服をチョイスして、ヒールも少し高いものを選んでみた。
最後に、マフラー・・・・
は・・・・・・・やめておくことにした。
イヤホンをつけてお気に入りの曲を流すと、夜の世界は居心地のいいものへと変わった。
冷たい風も、見えない星も、気にならない。
明るい街の光が、
真っ暗なところの街路樹が、
とても美しく目に映った。
駅についてからネットでバーを検索する。
地図の場所はすぐに見つかった。
口コミにはすごくおしゃれな店とあったけれど、外から見ると古びたビルでとてもバーがあるようには見えない。
階段が上のほうへと続いている・・・
きっとこの先にあるのだろう。
・・・・。
・・・・黒崎君・・いるかな?
・・・・店、間違ってないよね?
ここまできたのに、躊躇して一歩下がる。
あ・・・
コンクリートむき出しの壁には確かにオシャレな看板が飾ってあった。
『NOVE』
「・・・・のべ。」
――――思わず口に出た。
「・・・英語?・・・かなぁ。」
と、ぼんやりと独り言をつぶやく・・・・
「イタリア語だよ。」
ふいに背後から声がした。