第6章 曖昧なグレーゾーン
黒崎の車の中・・・
雪菜は真っ黒になった画面を見つめる。
知らないうちに携帯の電源は切れていた。
今日は授業以外特に予定がない。
帰ったらのんびりしようか・・・。
そう考える傍ら、隣の黒崎のことが気になった。
「そういえば黒崎くん、今日もバイト?」
「え?あー・・うん。今日はフルで1時までかな。」
そこまで聞いて、黒崎が夜何のバイトをしているのか知らないことに気づく。
「1時・・って夜中のだよね。ねぇ、今まで聞いたことなかったけど何のバイトしてるの?」
「・・・言ったら来るでしょ。」
黒崎は面倒くさそうに答えた。
「行く。」
反対に、雪菜は嬉しそうだ。
・・・・しばらくの沈黙。
「桜坂駅のノーヴェっていうバーだけど・・」
「バー!??」
びっくりして思わず運転中の彼の顔を覗き込む。
「それ、どういう反応ですか?」
だって・・なんか、似合いすぎだし。
「いや、いや、いいの。楽しみだなぁ♪」
極力愛想をふりまかない彼が、どんなバーでどんな顔して働いているのか想像もできずにわくわくする。