第5章 水の音
・・・・。
頭じゃない、身体が命令を受け入れてしまう。
目を合わせると、また彼は微笑む。
「今日ちゃんと教えてあげたのにね。気をつけなくちゃダメだよって。」
・・・・・?
なんのことを言われているのかがさっぱり分からない。
「まぁ、どうしようもなく馬鹿なところが可愛いからいいんですけどね。」
ひどいこと、言われた。
「さっき…頭悪いのきらいって…」
「……早瀬さんは、特別」
次の瞬間、唇が生温かい感触に包まれて突き出していた舌を丁寧に舐められる。
「んぅっ……」
キスは、ダメなのに。
そう、私はキスに弱い・・・
くちゃり・・と音がした・・
志水さんの私を軽蔑したようなあの顔を思い出す。
・・・せふれ?せっくすふれんど?
生温かい体温・・
鼻をくすぐる黒崎君の香水の匂い・・
・・・もう
どうでもいい
私の理性が溶けていく。
そう・・
さっきの泡の塊が慌てて逃げていくような速さで・・・