第4章 そこから見えているセカイ
――――もう何杯飲んだっけ?
向こうのほうで、有香が黄色い声をだして何か言ってるのが聞こえる。
有香、ついに運命の人に巡り合えたか?
テンションが上がる私のすぐ真横から声がして視線を左に戻した。
「本当に?本当に誰かを好きになったことないの??」
そうか、そんな話、してたっけ。
いけない、お酒飲みすぎちゃったかな。
どれだけジャガイモがつまらなかろうと、口から入ってくるカクテルは美味しい。
この嫌な空間をできるだけ感じないようにするにも沢山飲んで酔っ払ったほうが得だ。
「うん。無いんです。」
雪菜は酔いに任せて笑顔で答える。
「それ、寂しいよ。愛されたいでしょ?」
・・・余計な御世話だし。
好きになんて、なってもらわなくてもいい。
まずは私が・・・
私が誰かを好きになりたいんだってば。
この人たちと話すの・・・めんどくさい。
そう思った時だった。
「そろそろお開きにしようか」
志水さんの声がぴしゃりとその場を閉めた。