第4章 そこから見えているセカイ
乾杯のコールをしてから10分後。
若いね。とか、
大学で知り合った友人同士?とか、
当たり障りのない話をして、とりあえず初対面同士の会話が始まる。
そういえば事前になんの情報ももらっていなかったな・・・。
相手は社会人だった。
大学生以外の人との合コンはこれが初めてだったが、空気が違う・・と雪菜は直感的に感じた。
主導権はすべて向こう側にあるような、全部が向こうのペース。
初対面でどちらかというとよそゆきの対応をしている私たちに対して、こちらを子供扱いするような馴れ馴れしく丁寧さを欠いたような話し方が気にかかる。
それは向こう側のほうが年齢は上だけれども・・・
・・・怖いな。
・・・嫌な予感がする。
きりっとした顔立ちのいかにも仕事ができそうな人が向こう側の幹事の志水さんだ。
きっと今まで女性に困ったことがないのだろう・・本人は気付いてないともうけど、そういう自信はきちんと立ち振る舞いや表情に出る。
着ているきれいめの服もパリッとして高級感があった。
「こんな風に別々に座っててもつまらないでしょ、席替えしようよ。」
真ん中のテーブルを境にして別々に座っていたのを、名指しで呼ばれてどこに座るか指示される。
ちょうど交互に座るようになり、両側を男性に挟まれてしまった。
一番奥で広子が苦笑いしているのが見えた。
彼がいる彼女は何を思って今ここにいるのだろう。
今ここにいる男の顔なんてジャガイモくらいにしか見えてないだろうな。
なんて思っていると、
右側のジャガイモが声をかけてきた。